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教えられて

H30.4.24

第16号

今朝校長室の日めくりカレンダーを一枚めくるとそこには、「与えた恩は忘れろ。受けた恩は忘れるな」とあった。簡単なようでこの言葉はなかなか重い。長い間この仕事をしていると、この反対の同業者が如何に多いかを思う。「与えた恩は忘れるな。受けた恩はわすれろ」ということにでもなろうか。いやこの仕事に限ったことでは無い。

現在色んな関係の仕事に関わっているのだが、大抵「俺の時こうした。俺の時今のこれがきちんとなった」いくつも「俺の時…」が出て来て閉口してしまう。きっとこれは何処かで「俺が…、一番…」ということの表れなんだろう。こころして生きて行かなければならないと思う。

どうも人は「受けた恩を忘れるな」は意外と上手にできているように思える。しかし難しいのは「与えた恩を忘れろ」の方のようだ。どうしても「俺がいたから今のあいつは…」とか、「あの時俺が…してやったから…」。そうなると何だかあさましい。言わぬが…ということもある。私自身を振り返って肝に銘じておきたい。

さて先日から営業で中学校を回っている。本校の3つの柱、学び直しシステム「リスタ」、不登校生徒家庭学習支援システム「アイ-Koryo」、そして今年から本格実施が決まった未来を切り開く自由選択授業、「未来(ミラクル)プロジェクト」について説明している。この3つの柱については、ベネッセも注目し今度取材を受けることになっている。

この3つの柱について説明していると必ず中学校の校長先生方から質問を受ける。例えばミラクルプロジェクトについては、もっと大胆に既存の他の高校や中学校で行っているある程度路線がひかれている学習ではなく、失敗も含めた「起業」の学習にならないか?そんな声が多い。子どもたちが社会のニーズをリサーチして、それを形にして行く。その中で生きた学習をしていくものにしてほしい。そんな要望が多い。また、不登校生徒への支援システムについても、もっと丁寧に子どもや保護者に寄り添うような形を作ってほしい。そんな希望も多くいただいた。学び直しシステム「リスタ」については、今回一定の認知をいただいていることが分かった。期待しているとの声も多く寄せられた。ありがたい。

このように中学校の校長先生方から本校の取り組みに対して高い関心をいただいていることに深く感謝すると共に、中学校の校長先生方の声をもっともっと本校の取り組みに生かしてよりよいものにしていかなければならないと感じた。授業と同じである。校長先生方の質問が多ければ多いほど、本校の取り組みに興味と関心を持っていただいているのだと感じられる。そしてその声をしっかりと本校の取り組みに生かしていくことこそ、本校の神髄である。がんばりたいと思う。ありがたい。

先日の大谷選手の行為をふっと思い出した。牽制球を受けて一塁に戻った大谷選手がさりげなくとった行動。「大谷は一塁ベースに長い足をかけながら、手を伸ばしてファウルラインの内側のゴミを拾ってファウルラインの外側へ捨てた」。彼はそれを「人が捨てた“運”を拾っている」と言う。

一流選手には一流になるだけの理由がちゃんとある。

私も拾って行きたいものである。そう思った。ありがたい。


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何が大切なのか

H30.4.23

第15号

 

学校内は花で溢れている。華道部の子どもたちが生けてくれた花々がピロティにある。学校へ来るといつもその花々が温かく迎えてくれる。本当に嬉しい。今年に入ってより嬉しいのはトイレや廊下の隅にもさりげなく花があったり、子どもたちが休憩時間語らうであろうベンチ脇のテーブルにも花が飾ってあたりすることだ。誰かが何処かでちゃんと子どもたちのこころの成長を、いやそんな大袈裟なことではなく美しさや喜びを分かち合おうとするそんな気持ちを感じ感激する。ありがたい。

昨日は一日中トラクターに乗っていたのだが、上手く行く田んぼ、なかなか思うように行かない田んぼ、色々であった。毎年のことなのだが、私のようにたまの土日に当番をする者はなかなか腕が上達しない。そんな私でも状況の良い田んぼは大概上手く行くのだが、やはり途中途中で柔らかかったり硬かったりでこぼこしている田んぼはどうしても上手く行かない。人も田んぼも同じでそれぞれの状況をよく知って、きちんとその状況に対応しなければどちらも途方に暮れてしまうだけだと感じた。しっかりと一人一人を見つめ育まなければならない。

トラクターに乗りながら保護者の方々や知り合いの先生方から嬉しい知らせが入った。「先生、トラクターで今から応援に来て!ベスト8やよ!」かつての教え子で今は娘さんが本校に来ている保護者からの知らせ。運転中で電話に気づかず、メールが10程入っていた。ありがたい。ある知り合いの先生から「相撲優勝おめでとうございます!」実はその時自分は優勝したことを知らなかった。そんな先生からの知らせで初めて知った。早速顧問の先生に「優勝おめでとう!」とお祝いとねぎらいの言葉を言えた。ありがたい。

さて、トラクターを運転中しきりと思い浮かんだことがある。それは「何か一つ秀でたものを持ちなさい」という言葉だ。私も教師としてたまに子どもたちを励ます意味で使ってきた言葉だ。しかしよくよく考えてみると、この「何か一つ秀でたもの…」というのはそう容易いことではない。言葉で言うほど「秀でる」ことは簡単ではないのだ。この秀でるという表現は暗に「人より…」を含んでいる。これは私などには絶望的である。頭でも容姿でも人並みか、それ以下だと自認している。秀でてはいないが、それでもちょっぴり人並み以上の子どもたちに対する愛情と情熱は持っている。それでも秀でてはいない。「秀でる」などということは、なかなか難しい。

それでも自分が好きな道、好きなこと、そんなことを止めないで続けることはできる。自分が好きで選んだことだから、傍からはどのように見えたとしても一生懸命継続することはできる。あくまで継続であってひとより秀でているということはない。それでも人は平凡なことでも継続すると何か見えてくるものらしい。この歳になって思うことは、実はそれこそが大切なことなのだということだ。

大切なことは人より秀でることではない。むしろ人と協調して物事を進めることだし、「共にあらん」とすることは何よりも重要だと思う。勿論秀でていることはそれだけで才能として十分なことだ。それでも平凡でもささやかでも、たいしたことではないにしても続けることこそ重要だと思う。

もしかしたら人が気に掛けてもいないような片隅の小さく思える事柄でも、ずっと続けることでそれは輝くし自分のこころのダイヤモンドたり得ると思われる。自分の生き方は自分で決める。

トラクターに一日中乗りながら、随分哲学してしまった。気づくとトラクターの軌跡が随分曲がりくねっていた。村の長老に怒られそうだが、人生はいつだって回り道、曲がりくねった道なんだ。そんなふうに小さくこころの中で呟いた。

さて今週もがんばろう!


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向陵ミラクルプロジェクト始動!

H30.4.20

第14号

 

昨日Y教頭先生から「今日の午後、本校のミラクルプロジェクトの子どもたちへの説明会をするので校長先生もよかったらどうか観に来てください」と声をかけられた。本校では「ミラクルプロジェクト」との呼称で呼んでいる私の念願の自由選択教科がいよいよ始まるとあって、時間の都合をつけて直ぐに観に行った。

先ずミラクルプロジェクトでどんな力をつけてもらいたいか。どんな学習を進めていくか。そんなイメージを子どもたちに持ってもらうために、ミラクルプロジェクトリーダーのM先生からこの学習の概要の全体説明があった。その後12人の先生方が、自分が子どもたちと共に進める学習のイメージをそれ簡潔に話した。

例えば「Cafeを開いて地域の方々を招待しよう!」というテーマで取り組む学習のイメージとしては、「実際にCafeに出向いてマスターから話を聞く」「テーブルや椅子をデザインする」「畑で野菜を作ってそれをメニューに使おう」「人気メニューを考案し試食してみよう」「地域の方々に宣伝するチラシを作成しよう」そして実際に自分たちの手でCafeを開いて地域の方々を招待してみようとなる。

各先生方から実際にそれぞれ説明があった後、屋台方式でそれぞれの先生方がブースを設けてそこに子どもたちが自分のやりたい内容を選んでより詳しく説明を聞く。そんな形で学習が進んだ。

一番人気のブースは元銀行支店長の経歴をお持ちのT先生。テーマは「アプリで株投資をリアル体験しよう」で、沢山の男子生徒が群がっていた。また男子生徒には「美しい身体をつくる」も人気があった。女子生徒に人気のあったのは、「学校で卒業生の結婚式をあげよう」をテーマに掲げたブースで、花嫁の衣装考案、ヘアースタイル、化粧、司会進行等熱心に説明を聞いていた。

どの子どもたちも生き生きと輝いて見えた。自らが自らの手でやりたいことを進めて行く。私の言うところのカリキュラムの中に子どもたちが自ら主体的に学習を進めていく時間の設定、所謂白紙プログラムが最初とはいえ子どもたちに受け入れられた瞬間である。この時間の中でそれぞれがそれぞれにプロジェクトを進める。そこで失敗も成功も、泣いたり笑ったりしながら、生き抜く力を育みたい。誰かが最初から用意したプログラムでなく、自分たちの手で進めて行ってこそ、子どもたちに本当の意味での自己効力感が育つのだと考えている。

本校学び直しのキャラクターが「リス太」。そして今回の「ミラクルプロジェクト」は子どもたちの未来を切り拓いていく学習になることから新しい本校のキャラクターに登場してもらった。名付けて「未来(みく)ちゃん」。首にはドングリのペンダント。これは学び直しをしているリス太を導くための餌であるドングリの実である。そして手には望遠鏡。これは未来を見通すためのものである。そんな未来ちゃんに導かれて学習を進めていく。

遂に遂に「ミラクルプロジェクト」始動!子どもたちと一緒に私も今からワクワク、ドキドキしている。学習は本来ワクワクするものだろう。そうあってほしい。

期待している。向陵生諸君!共にがんばろう!