令和3年度2学期始業式 学校長式辞

 おはようございます。 

 今日は9月6日、しかも1,2年生はオンラインという異例の始業式になりました。皆さん、元気ですか? 

1学期の終業式に話したことを覚えているでしょうか。大リーグで活躍する大谷翔平選手にまつわる三つの話をしました。 

一つ目は、彼が大勢の人に愛される理由について。彼のマナー、気遣い、人柄の良さ、そして習慣化された自然な行動のこと。 

二つ目は、プロになっても少年のように楽しそうにプレーする姿から、「好きは最強」、「好き」に出会い増やしていくために、今は本を読み、新聞を読み、可能な範囲で行動を起こしチャレンジしようということ。 

三つめが目標設定シートについて。 

これらについて、調べてみたりチャレンジしたりしてみた人はいますか?何かしらの1歩を踏み出すことはできたでしょうか? 

 さて、この夏休み、社会での大きなニュースと言えば、依然猛威を振るっている新型コロナウィルスと共に、やはり東京オリンピック・パラリンピックの話題です。終業式でも、いろんな視点で物事を見て考える機会にしてほしいと伝えました。 

無観客という特異な状況の中ではありましたが、選手たちの素晴らしいパフォーマンスを目にし、たくさんの感動に出会うことができました。私が特に注目したのは昨日閉幕したパラリンピックです。選手それぞれが想像を絶するような苦難を乗り越え、パラリンピックの舞台に立つために工夫と努力を重ねてきたことがよくわかりました。 

日本選手最初のメダリストは最年少の中学3年生、水泳の山田美幸選手でした。彼女は両腕がなく、両足も長さが違います。しかし、その泳ぎは本当に力強かった。他人と比べて自分にないものを嘆き、できないことの理由にするのではなく、障害を受け入れて自らの特性と捉えた上で、常に向上することを目指して工夫と努力を続ける。その強さ、ひたむきさに感動し、明るさに勇気づけられた人は間違いなくたくさんいると思います。また、競技を終えた直後のインタビューにおいても、誠実に落ち着いて答える様子が印象的でした。彼女が水泳のことだけでなく、周囲の人と関わりながら幅広く学んできたであろうことが容易に感じ取れました。 

女子マラソンのメダリスト有森裕子さんはパラリンピックについてこのように言っています。「パラリンピックの目的は多様性を認め、共生社会実現への契機となることだ。意識を持つことが大事。見て、知り、気付く。気付いたらイメージし、イメージしたら行動する。入口は『知る』でも十分。知ることが固定観念を変えていく方向に進むから。」と。付け加えておくと、有森さんは、「スペシャルオリンピックス」の日本理事長でもあります。「スペシャルオリンピックス」というのは、知的障害のある人たちにトレーニングや競技会を提供している国際的なスポーツ組織です。日本でも全国大会が4年に1度開かれ、夏季大会には約1,000名のアスリートが参加しています。このような組織や大会があることも、この機会に知ってほしいことの一つです。 

 東京オリンピック・パラリンピックを機会に考えておいてほしいことがもう一つあります。予期せぬコロナ禍の中での開催ということで、開催自体の是非についていろいろなところで議論が交わされました。開催が果たして正しかったのか、それとも誤りだったのかは誰にもわかりません。反対意見を理解し考慮した上であっても、それぞれの立場によってどうしても意見は分かれてしまいます。このような正解のない問題に直面した時、飛び交う多くの情報の真偽を見極める力が重要になってくるのは言うまでもありません。安易に周囲の意見に惑わされることなく、自分なりの価値観を持って判断していくためには、幅広い視野を持って経験値を高めていくことが必要です。やるべきこと、できることを考えて工 夫していきましょう。 

 3年生はいよいよ就職試験目前になりました。進学希望の人たちも準備が本格化してきています。家族や先生方はもちろん、たくさんの人にお世話になっていることを忘れず、誠実に取り組んでいってください。一生懸命ひたむきに頑張っている人には、自然と応援したくなるものです。 

1,2年生にとっても決して遠い先のことではありません。時間は平等に、そして容赦なく過ぎていってしまいます。 

合言葉は「かきくけこ」です。 

感謝の気持ちを忘れず 希望を持って 工夫を重ねて目標に向かっていきましょう。 

必要な時に最適な決断ができるように 今なすべきことを考えて行動を起こしましょう。 

 2学期も健康で有意義な高校生活が送れるよう願っています。一緒にがんばりましょう。 

                           校長 今井 亜矢子