卒業生を見送ってから早3週間あまりが経ちました。今日の午後には新入生への説明会も行います。随分と春らしくなり、桜の開花も話題に上るようになってきました。
令和3年度は、オリンピック・パラリンピックが夏季・冬季とも開催されるという特異な年でした。たくさんの課題はあったものの、コロナ禍の閉塞した空間に新鮮な空気を送り込んでくれたことは間違いありません。冬季パラリンピックでは、富山県の川除選手が金メダルを獲得したという明るい話題もありました。指に障害のある川除選手が、ストックをもたずに雪の上を滑るというより走っているかのような力強い姿が印象的でした。
一方で、ちょうど一月前、ロシア軍のウクライナ侵攻という大きな出来事がありました。それ以降は連日、新聞やテレビで大きく報道されています。昨日もウクライナ大統領が日本の国会で演説した様子が流れていました。現地での爆撃や被害者の様子を見るたびに胸が苦しくなります。
20日の国連の発表によると、ウクライナで国内外に避難した人が1,000万人を超えたということです。実に人口の5分の1に当たります。国外への避難民は339万人、これは北陸3県の人口より多い数で、その9割は女性と子どもです。男性は戦闘に参加しなければならないからです。日本でも難民の受け入れが始まっており、行政のみならず、民間レベルでも支援の輪が広がっています。
このロシア・ウクライナ問題に関して、どちらが悪いというようなことは事実を全て認識していない立場で言うことはできません。ただ、これだけは言えます。理由は何であれ、人が人を傷つける行為は絶対にしてはならないということ、ましてや、その行為を人に強いることは、被害者だけでなく、その行為を強いられた人も傷つけることになります。過去、戦争という過ちを犯し、最も大切な命という多く代償を払ってきた日本は、その重さを決して忘れてはなりません。
また、国内においては先週3月16日に、東北を中心に広範囲での大きな地震がありました。ちょうど11年前の3.11を思い起こさせるものでした。あの時ほどの被害ではなかったとは言え、亡くなった方をはじめとし、被害に遭われた方も大勢いらっしゃいます。東北新幹線の脱線は復旧に1ヶ月以上かかると見込まれています。さらに東京電力管内の火力発電所の被害により、大規模停電を避けるために節電の強い要請がありました。
ところで、この二つの出来事について、自分たちとはあまり関係のない、どこか遠いところのことと捉えている感覚はないでしょうか?
確かに富山県に住んでいる私たちにとって、直接的な影響は限られているかもしれません。しかし、間違いなく影響は様々なところに波及していくし、また、あまり影響はないからと言って目をそらしていいことではありません。
4月からの成人年齢引き下げによって、皆さんのほとんどが卒業前に成人となります。大人として、社会の一員としての意識を持っていかなければなりません。世の中で起きていることを、知らなかったでは済まされないのです。
この春休みは、次のステップに進むための大切な節目に当たります。竹は節があることで柔軟性をもち、雪の重みにも耐えることができるのです。ぜひ、社会に目を向け考えるという行動を意識し、大人に向けてのしっかりとした節目を作る春休みとしていってくれることを期待します。
校長 今井 亜矢子