令和4年度1学期始業式 学校長式辞

 今週は春らしい日が続いています。桜もちょうど満開となりました。色とりどりの花が咲き、モノトーンの冬からカラフルな春へと確かに季節は変わったと感じます。

 さて、今日から令和4年度が始まります。2週間前の終業式には、ウクライナで起きていること、東北を中心とした地震のことに触れました。高校在学中に成人を迎えることから、社会の一員としての意識を持たねばならない。世の中で起きていることについて、知らなかったでは済まされないのだという話をしました。特にウクライナ情勢については、日々悲惨なニュースが流れてきます。知ったからといって、できることはほんの些細なことかもしれない。でも、知らなければ何も始まらないのです。

 皆さんには、「自らの手で未来を切り拓く力をもったグローカルヒーロー」になってほしいと思っています。「グローカル」とは、「グローバル」と「ローカル」を合わせた造語で、地球規模の視野をもちながら、地域の視点で問題を捉え、解決していこうとする考え方です。この「グローカルヒーロー」を目指すために、今年度のスローガンは、「視よう 聴こう 言おう 動こう」とします。

 「見ざる 聞かざる 言わざる」という言葉は聞いたことがありますね。日本では日光東照宮の彫刻が有名です。これは、一説には、中国の『論語』から伝わったとされています。

 その『論語』には、こう書かれています。「礼に非ざれば、視ること勿れ。聴くこと勿れ。言うこと勿れ。動くこと勿れ。」「勿れ」というのは「してはいけない」という意味なので「見ざる 聞かざる 言わざる」となるわけです。そして、この前には「礼に非ざれば」つまり「礼節(礼儀と節度)にかなっていなければ」という但し書きがあります。

そこで、これを全部裏返せば「礼儀と節度にかなっていれば、視よう 聴こう 言おう 動こう」ということになります。この時の「みる」の漢字は「見」ではなく、意識してよく視るという意味の「視」、「きく」は「聞」ではなく、意識してよく聴くという意味の「聴」という漢字です。

 自分のこと、周囲のこと、社会のことにきちんと目を向け、耳を傾けることで情報の本質を見極めて、それを材料によく考えて自分の言葉で表現し、そして自分の足で動いてみましょう。「視よう 聴こう 言おう 動こう」です。

 午後にはいよいよ大勢の新入生を迎えます。皆さんとの対面は月曜日となりますが、どうぞ向陵生の手本としての先輩の姿を見せてください。 昨年度言い続けていた「かきくけこ-感謝、希望、工夫、決断、行動」も心に留めておき、それぞれが前を向いて充実した高校2年生、3年生というかけがえのない時間を過ごしてくれることを期待しています。

                      校長 今井 亜矢子