「17歳からのメッセージ」金賞

大阪経済大学 第24かい高校生フォーラム 17歳からのメッセージ にて、未来アカデミアコース2年生の山田 湖都さんが金賞を受賞しました。

受賞した山田さんの文章を掲載します。


父とハンドボール

山田 湖都

 高校選択のときハンドボールを続けるかやめるか迷った。

 私は小学二年生のときからハンドボールをしている。父が監督で、毎日ハンドボールで頭がいっぱいだった。父はハンドボールの楽しさと勝つことの喜びを教えてくれた。中学に入ってからは、迎えの車の中でその部活のことを父と話すのが楽しみとなっていた。しかし、中一の夏、その日の車の中は楽しいものではなかった。父がいつものように冗談を言う感じで

「俺もうそんなに長くないんやって。」

 私には何のことかすぐにわかった。父は大腸癌を患っていて、余命宣告をうけたのだ。視界がにじんで信号機の赤色がいくつにも見えた。中三になって進路を考えなければならなくなった。父がいつ倒れてもおかしくないなか、私の頭には、「父がいないのにハンドボールをしていて楽しいのか」という言葉がうかぶようになった。しかし、高校生になった今、「日本一」を目指してハンドボールをしている。なぜなら、父がいないからこそ、父がいたことを証明するために、父から教わったハンドボールを続けようと思ったからだ。

 私にとってスポーツとは、父と私をつなぐ絆のようなものである。